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校長室から

 今回は3年浦﨑菜花さんの作文を紹介します。
 昨年の第70回交通安全ポスター・作文コンクールで「県交通安全協会長賞」を受賞し、
 今年7月14日(木)に開かれる「呉市交通安全大会」で、呉市の児童生徒を代表して発表することになりました。
 高齢化社会に伴う問題を真剣に考え、実践していることが評価されたようです。
 共に考えていければと思います。


私たち若い人にできること
                     浦 﨑 菜 花  
高齢者による事故はなぜ多発しているのか 。このままでいいのだろうか。
私の祖父は今、74歳になるが働き、車も運転している。私が祖父にいつまで車の運転を続けるのかと聞いたとき祖父は、
「そのうち、もう少ししたら・・・。」
と適当に答えた。私も祖父も免許を返納することについて余り考えていなかった。
そんなある日、祖父母と買い物に出かけた。スーパーの駐車場で車をゆっくりバックさせて枠の中に入れていく祖父。
一瞬アクセルとブレーキの判断が曖昧になっていた。買い物から帰るときの道で右折しようとした時に歩行者に気づいていなかったり・・。
私は終始心配で落ち着けなかった。
 こんな運転を続けていたら、いつか大きな事故に繋がりかねないと思った。
でも、祖父が免許を返納してしまうと免許を持っていない祖母が病院へ行くことも買い物へ行くこともできなくなってしまう。
だから祖父も免許を返納できないのだろう。これを解決するにはどうしたらいいのだろうか。
祖父が事故を起こしてしまう前になんとかしないと行けない私はずっと考えていた。
 私は学校からの帰り道にバスから高齢者が何人か降りてきたのを見て、祖父が車を運転しなくても祖母は病院や買い物に行くことができるのではないかと考えた。
このことを祖父に提案すると祖母が、
「バスを利用するのはいいと思うが家の近くのバス停にバスは30分に一本程度しか来ないから、自分の都合が合わなかったらどうしようもない。」
と申し訳なさそうに言った。

「事故を起こして大ごとになって迷惑をかけることはできない。」
祖父がそう言った。祖父は自分の運転がいつか家族を巻き込んでしまう、誰かが死んでしまう事故に繋がるかも知れないと思ったのだろう。
免許の返納する決意をした。この祖父の決意で、今にも事故を起こしそうな高齢者の決意で大切な人を救ったのではないだろうか。私たちの未来を少し明るくしたのではないだろうか。
高齢者による事故はなぜ多発しているのか、それは無理をしてまで運転を続ける理由を私たちが考えていないから、
免許を返納したくても返納できないと悩んでいる高齢者に目を向けていないからだと思った。
高齢化の進む今、小さな町から若い人や店が減少していく今、私たちにできることがある。高齢者の免許を返納することに寄り添い、一緒に考えていく。
高齢者が無理をして運転し、恐ろしい事故が起き、大切な人が死んでしまう前に私たちが動き出す。
私たちのように高齢者にバスを積極的に使うように提案する。こんな簡単なことでもできることはたくさんある。さあ動き出そう!
 今、免許を返納すべきか迷っている高齢者の背中を押してあげられるのは私たち。
                                                第70回交通安全ポスター・作文コンクール 県交通安全協会長賞