「道徳の時間」学習指導案
指導者 藤 野 賢 二
中 田 智 志
1.日 時  平成17年11月25日(金) 第4校時

2.学 年  第3学年A組 (男子15名 女子14名 計29名)

3.主題名  集団や社会との関わり 4−(1)

4.ねらい  自己が属する様々な集団の意義についての理解を深め、役割と責任を自覚し集団生活の向上に努める。

5.資料名  甲子園(自作資料)

6.主題設定の理由
(1)主題観
 人が、集団の一員としてよりよく生きていくためには、自分の属する集団の意義を十分に理解することが大切である。各人がその成員としての役割と責任を自覚して個々が責任を果たし集団の目標を達成する中で集団の向上が図られ、自己の実現もなされる。また、集団は成員相互の協力があって維持されるものであるから、互いに人間関係を大切にするとともに、励まし合うという協力関係をつくりあげていくことが大切である。集団の中で人間的な成長を遂げていくためには、集団の規律を守ることが必要であり、そのためには一人一人が自らの役割と責任を果たすという自覚が大切である。集団の中で、互いに規律を守り、協力し合って、集団生活の向上に努めることが求められる。自分たちの集団だけがよければよいという利己的な仲間意識を克服し社会という大きな集団に属する一人として集団生活の向上に努める態度を養いたい。

(2)生徒観
  多くの生徒が入学以来、部活動に所属している。その部活動は、教育の一環としてなされるものであり、これから学ぶものは多く、技術面だけでなく、体力、気力、忍耐力、礼儀、また集団における規律やお互い支え合い向上していこうとする協調性なども学んでいる。対外的には、学校の名を背負って試合やコンクールに出場する場合、壮行式で送る側も出場する部員も学校を代表してという気持ちでし出場し、活躍してきた。

(3)指導観
 今年の夏の全国高校野球選手権大会は、さまざまな不祥事が話題となった大会でもあった。特に県大会では優勝を手にしながら、部員の不祥事を高校野球連盟に報告しなかった高知県の明徳義塾高校が自ら出場を辞退するという出来事は、いろいろな問題を社会に投げかける出来事であった。

 今日の高校野球を見ると強豪と呼ばれる学校の多くは、学校の名を高めるために、試合に勝つことだけを至上の目的としているような傾向が見られる。このことから部活動にもまた能力主義が持ち込まれるようになり、「スポーツを楽しむ部活」よりも「試合に勝てる部活」ばかりが強調されるようになってしまっている現状がある。そこには部活動本来の目的の一つである社会的なマナーやルールを守ることの大切さが生徒に正しく理解されないまま、「規則」だからの一言で縛り付けようとしている。そういったことへの反発なども問題の起きる要因の一つとなっていると思われる。

 中学校の部活動は、まだそこまでの行き過ぎはないが、生徒自身が部活動の意義を正しく理解しているかというとそうでない生徒も見られる。「連帯責任」の持つ意味を、足枷と捉えるのでなく、互いに協力し、向上するための連帯と捉えさせたい。また、部活動本来の意義を考えることにより、部活動に学ぶ豊かな人間性や社会性、自ら学ぶ力やたくましく生きるための体力など「生きる力」を養う場でもあることを自覚させたい。

7.準備物 
パソコン ビデオプロジェクター ワークシート

8.指導過程

 

 

学習活動

発問と生徒の反応

T1

T2

留意点

 

 

 

 

 

@甲子園大会の閉会式の写真を見て、自分たちが部活動で目標としていたものは何か出し合う。

○高校球児にとって甲子園大会は大きな目標だと思おうけど君たちが部活動をやってきた中での目標は何だった?

・試合に勝つこと(県大会に出ること)

・コンクールで金賞を獲ること

○試合だけかな?

・体を鍛える

・友達を作る

発問

支援

○パワーポイントで学生野球 連盟憲章を提示する。

指導過程

A甲子園大会を目指して地方大会で勝ち進んできた高校が出場辞退になった事について知っていることを出し合う。

 

B地方大会で優勝してから出場辞退決定までの新聞記事を見て考えよう。

 

 

 

 

C自分の経験をワークシートに書き込む。

 

Dワークシートに 記入

 

 

 

 

E 今の自分を考える

○甲子園を目指し頑張ってきたのに出場を辞退した学校があったけどどこの学校?

・明徳義塾 高知県

○どんな事件か知っている人はいますか?

・部員がたばこを吸った         ・部員の暴力事件            

 

 

 

○この事件で、自ら出場を辞退したことについてどう思いますか?          ・事件に関係のない生徒は出場させるべき。

・連帯して責任をとり辞退すべき。                

 

○監督が報告しなかったのはなぜだろう

・出場できなくなるから(連帯責任)

 

○自分たちが経験してきた部活動の中で連帯して責任をとったことはあっただろうか。

 

 

○連帯責任は何のためにあるのか?

 

 

 

 

 

○今の自分を振り返りながら授業の感想を書こう。

 

発問

 

 

発問

 

 

 

 

 

発問

 

 

支援

 

 

発問

 

 

 

支援

 

 

発問

 

 

支援

 

 

 

操作

 

 

 

 

支援

 

 

 

 

 

支援

 

 

 

 

 

 

 

 

 

支援

 

机間指導

 

 

 

 

○パワーポイントを使い事件のあらましを知らせる

 

 

 

○ワークシート@

○出場させるべきか否か意思表示カードで示させ、その後グループ分けをする

 

 

○監督が連盟に報告しなかったルール違反も辞退理由であることを告げる。

 

○クラスなど部活動以外の集団 の経験でもよい。

 

○ワークシートA

○より良い集団の向上を目指すためには、互いに協力し、注意しあうことが必要であることを理解させる。

 

○ワークシートB

 

 

Eまとめ

○高野連の会長の言葉を伝える。

○感想をまとめよう。

○心のノートPを読もう

発問

 

 

支援

支援

 

 

発問

 




日本学生野球憲章 (学生野球要覧より抜粋)  

 われらの野球は日本の学生野球として学生たることの自覚を基礎とし、学生たることを忘れてはわれらの野球は成り立ち得ない。勤勉と規律とはつねにわれらと共にあり、怠惰と放縦とに対しては不断に警戒されなければならない。元来野球はスポーツとしてそれ自身意昧と価値とを持つであろう。しかし学生野球としてはそれに止まらず試合を通じてフェアの精神を体得する事、幸運にも驕らず非運にも屈せぬ明朗強靭な情意を涵養する事、いかなる艱難をも凌ぎうる強健な身体を鍛練する事、これこそ実にわれらの野球を導く理念でなければならない。この理念を想望してわれらここに憲章を定める


第四章 附 則

第二十条 日本学生野球協会は、部長、監督、コーチ、選手又は部員に学生野球の本義に違背し、又は違背するおそれのある行為があると認めるときは、審査室の議を経て、その部長、監督、コーチ、選手又は部員に対しては、警告、謹慎又は出場禁止の処置をし、その者の所属する野球部に対しては、警告、謹慎、出場禁止又は除名の処置をすることができる。部長、監督、コーチ、選手又は部員にこの憲章の条規に反する行為があると認められるときも、同様である。