国語科学習指導案

指導者  野上 典子  

1 日 時   平成17年 11月 25日(金)

2 学 年   2年A組 (男子13名 女子20名 計33名)

3 国語科と道徳教育
  国語科の目標である「伝え合う力を高めること」は,相手の立場や考えを尊重することや個性を認め合うことにつながる。また,題材となる文学作品に感動し,読みを深めていくことは,人としてのあるべき姿や,人をこえる崇高なものに感動する,豊かな感性を育てることにつながる。
  この単元では,古くから親しまれてきた古典を題材とする。我が国の文化や伝統に対する理解と関心を深めることにもつながると考えられる。

4 単元名   古典に親しむ『漢詩の世界』 

5 単元について
○ 単元・題材観
  本時の題材は,唐の時代に書かれた孟浩然・李白・杜甫の詩三編である。3年間を通して,本格的な漢文学習として唯一の題材となっている。漢詩は定型詩であり,訓読すると漢詩独特のリズムが生まれる。また,簡潔な表現の中に,別離の悲しみや戦乱がもたらす憂愁を読み取ることができる。これらの詩は,日本でも古くから人々に親しまれ,愛読されてきた。

○ 生徒観
  古典の題材については,仮名遣いや独特の言葉に対する苦手意識がある。全体としては慣れるにしたがって薄れてきた。
  苦手意識が無くなったとはいえ,音読と語句の意味を理解することが「わかったこと」と思っている生徒がほとんどである。時代背景の違いから生まれる価値観の違いと,時をこえた人としての共通性という,古典のおもしろさに気付いているとはいえない。
  生徒は学習課題に対して素直に取り組むが,長時間集中することが難しく,難しい問題になるとすぐにあきらめてしまう傾向がある。また,常に正解かどうかを意識し,正しいという自信がない場合はなかなか表現しない。したがって,作品のテーマや登場人物の気持ちなども,様々な意見をもとに読みを深めることが難しい。

○ 指導観
  1生で故事成語を学習して以来の,1年ぶりの漢文学習となる。まず音読を繰り返すことによって,独特の言葉遣いに慣れ,リズムをとらえさせたい。次に,書き下し文や注をもとに,意味をまとめさせたい。
  描かれた情景を想像することから,作者の心情や詩のテーマについて考えさせたい。一人一人の素朴な感想から出発し,多種多様な意見の中から理解を深めさせたい。そのために,小グループを活用し,多くの生徒が考えを述べ合い,互いに聞き合う学習過程とする。

6 単元の目標
 ・漢詩に描かれた情景を想像し,心情を味わう。
 ・漢詩独特のことば遣いや心情をとらえる。

7 指導計画(5時間扱い)

     学習内容

 

 

 

評価規準

評価方法

 

漢文の読み方を復習する。

「春暁」を音読する。

語句の意味や情景をとらえる。

 

 

 

文語文をなめらかに音読している。

教科書を手がかりに,意味や情景をとらえている。

観察

ワークシート

 

「黄鶴楼」を音読する。

視写し,語句の意味や構成をとらえる。

 

 

 

 

 

絶句のきまりを理解している。

一句の構成に注意して朗読している。

観察

ノート

 

 

「黄鶴楼」の情景をとらえる。

心情を想像し,口語訳する。

 

 

 

作者の心情をとらえている。

自分の言葉で表現している。

観察

ノート

 

「春望」を音読する。

試写し,語句の意味や構成をとらえる。

 

 

 

律詩のきまりを理解している。

対句に注意して朗読している。

観察

ノート

 

「春望」の情景をとらえ,心情を想像する。

他の漢詩を読む。

 

 

 

作者の心情をとらえている。

漢詩に関心を持ち,積極的に読もうとしている。

観察

ノート

8 本時の目標
・「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」の情景や心情をとらえ,自分の言葉でそれを表現する。

9 本時の展開

 

学習活動

教師の働きかけ・生徒の学習内容

形態

教師の対応・留意点

具体の評価規準

評価
方法

準備物

 導

・学習を始め る雰囲気を つくる。

・目標を確認 する。

・漢字ドリルをする。

・今日の目標を話す→聞き取って書く。

一斉

・落ち着いた雰囲気になるよ う,段階的に注意を促す。

 

 

ドリル

   目標 「詩に描かれた情景をとらえる。
      作者の心情を想像し,自分の言葉で表現する。」

1詩を朗読し 内容を確認 する。

2作者の心情を想像する


















3意見を交流 し,さらに 想像をふく らませる。

・範読→全員読み→指名読み。


「作者はどこで何をしている のだろうか。何を見ている のだろうか。」

・李白(廣鶴楼)は広陵に行 く孟浩然(長江を下る帆船) を見送っている。

・船が遠ざかり碧空に消える 天際に流れる長江。

「作者の思いを想像してみよ う」

・長江を見つめ続ける作者の 心の内は?

・1200年以上前のこと, この別れは何を意味してい るのだろうか?

「班で意見を持ち寄って,作 者の思いを表現してみよう」

「各班の意見を発表しよう」

一斉


一斉




一斉

・読み方を確認し,全員がす らすら読めるようにする。


・絵も使って人物と位置関係 を確認する。

・作者の目に映ったものを詩 の中から抜き出させる。

・何も書けない生徒には,個 別に問いかけて,素朴な感 想を引き出す。

・記入が短い生徒には,深め たりふくらませたりする問 いかけをする。

 






・班員の意見を持ち寄った表 現になるように助言する。

・別離の悲しみを共感的にと らえ,自分の言葉で表現さ せたい。











・情景から想像した作者の心情を,適切な言葉で表現している。





ノート





ノート





廣鶴楼の絵

まとめ

・本時の学習 をまとめ, 次時への関 心を高める

・作者の思いをノートにまと める。

・漢詩のすばらしさに気付く。

一斉

・描かれた情景から,別離の 悲しみを感じ取ることができることを確認する。